そばにあるもの




ーーー廉sideーーー


俺のお気に入りのところに連れてきて



実杏は俺の腕のなかで泣いている。



「大好きって言いたくて…」



そんなこと言われた俺は


理性を保つので精一杯だよ…………



泣き顔で俺を見上げた実杏の顔は…


何よりも美しく見えたよ。


俺はニヤけが止まらなかった…




少し落ち着いてから…………

二人で並んで座って景色を見ていた。

手をつないで…………。


俺は話を切り出した。






『実杏…………


お前が好きなのは…

昔出会った、前の俺だろ?』





実杏は驚いた顔をしてこっちを見た。