ーーー廉sideーーー


放課後の教室、せちかに呼び出された。


『もう、関わらずに1週間たつんでしょ?どーにかしなよ』


『俺は何もしないよ』


『実杏の気持ち気づいてるんでしょ?』


少し黙りこんで…



俺は叫んでしまった。




『でも実杏が好きなのは…


今の俺じゃなくて、あの日の俺だ』



驚いて目を見開いたせちかがいた。



『叫んでわりぃ。』


弱々しく見えるせちか対して、ものすごく悪いことをした気分になった。


実杏と近づけないからって
せちかに叫ぶのは間違えたな……


気まずい雰囲気になってしまった。


俺は部活に行こうと、カバンを持った。


するとせちかが、


『そんなの…ただの言い訳じゃん!』


泣きながら話し出した。


『花村くんは…怖くて逃げてるだけだよ。

実杏を救ったんでしょ?

好きなんでしょ?

ずっと…好きだったんでしょ?


なら…………大切にしてあげなよ…………


あたしの入る隙は…ないんだから…』




初めて見た、せちかの震えながら泣く姿。

どうしていいのかわからなかった。


(あたしの入る隙は…ないんだから…)だって?



俺の聞き間違えであってほしい。


でも俺は覚悟を決めた。


『俺、実杏のとこ行ってくるわ』



せちかには申し訳なかった。


でも何もしないことも悪い気がした。



とにかく全力で走った。