そばにあるもの



いつもは気にせず帰るけど、

今日は話しかけてみたくなった。


「おい、なに見てんの?」


『えっ』


私は言葉を失った。


だって………あの男の子にすごい似てるんもの。

声も顔もはっきりては覚えてなかったけど…

笑顔だけは覚えていた。


だから私は思いきって叫んだ。


『あの、思いっきり笑ってくれない?』


「はあー?何言ってんの、バカ?」



な、な、な、な、何この男の子!

あー…あの男の子かもって期待して損した。



「よくわかんねーけど、暇ならちょっと練習付き合ってくんない?」

『え、あ、うん』


少し気まずい雰囲気の中、私はボールを拾った。



「よし、もう終わる。ありがとな」


『ボール片付けとくから、先帰っていいよ』


「お、サンキュ」


ボールも拾って、帰ろうとしたとき

門のところに人影があった。