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「どこ行った…?」
高橋圭、バスケ部。
辺りは静かで、人通りの少なく、シャッターが降りた眩しい商店街がぽつりと浮かび上がって見える。
「あいつら見つけたか?」
切れた息を整えつつ、バットを振る後輩に問う。
「あっちの方に見えたんすけど、タクシーでどっか逃げたっぽいです」
「あーあー、使えねーなぁ」
後輩を軽く殴った。
「ぐっ…」
後輩は走って逃げた。バットを置き去りにしていた。
田中絵梨子。
俺の幼馴染で、あいつら3人のクラスメイト。そして、今日の松美彼方へのリンチ計画を命令した。
絵梨子には色々と弱味を握られていて、
昔の万引きやタバコを少しやったことなど、学校にばれたくない細かなことが、俺をこき使う口実になっている。
「俺は奴隷かっつーの」
とにかく、あいつら3人を捕まえないと、困るのはおれなのだ。
「おい!お前らそこら中バイクで探せ!」
後輩の不良らが動き始める。
これじゃ、絵梨子と一緒だな。
俺の今までの行動が元凶だが。



