失恋、

俺たちは駐車場を出て、
必死で走った。

松美は足が遅いので凛が背負った。

「よいしょっ、うわっ軽っ」

そう呟いたのが聞こえたが、俺は逃げ道を探すのに必死だった。

商店街に出た。

「えーっと、ここを曲がって…」

「春樹!足音聞こえる!」

「あーーっ!たく!タクシー乗るぞ!」

わーっと凄まじい足音と、
金属がコンクリートでジャリジャリキンキンコツコツと擦れる音が聞こえる。

「タクシータクシータクシー…」

俺は足踏みして道路沿いで待った。

「やばい!!きてる!!」

振り向くと、商店街を抜けてこちらに向かってくる人の群れが見えた。

「タクシータクシータクシータクシー…」

タクシーが先かあいつらが先か…

「来たっ!」

タクシーが滑らかに止まる。

「どうぞ〜」

運転手ののんきな声が少し落ち着く。

「えっと…とりあえず遠くに!」

「わ…わかりました〜」

運転手は戸惑ったがすぐに走ってくれた。

後ろを見ると、ヤンキー達がウロウロと俺たちを探していた。

巻いたか。