「いらっしゃーい」

綺麗な店員がいっぱいいる、
そして腕も一流の、俺の行きつけ、
「Lake」。


「チッス」

平日の夜だけあって、客はまばらだ。

「あら春樹君〜〜?もう1週間経ったかしら?」

この人は俺専属。

会員は美容師を優先的に予約できる。

「いや、こいつらとイメチェンしよっかー的な」

「あら、お友達なんか居たのねー」

「え、ちょっとおばさん、それ問題発言」

「おばさんって何よ!」

「まあまぁ、まずは松美っしょ?」

「ナーイス凛!そう、まずはこの貞子ちゃんどーにかしてくんねぇ?」

「あらあら、可愛い子じゃない?
たしかにその髪型はもてないわね〜」

「私もてたいわけじゃないんです。人気者にならなきゃいけないんです。」

「あら。そうなのね。
私も髪型をバッサリ短くして
どうにか元気な女の子になろうと頑張ったわ。

でも結局、髪型を変えたことよりも、
髪型と一緒に元気になろうっていう気持ちが一番私を変えてくれたのよね。

松美ちゃんはどんな女の子になりたいの?

人気者ってどんな子だろう。」

「明るくて…皆と友達で…
すぐ泣かない。強い、女の子です。」

松美はうつむいたままだったが、
小さな手に込められた力は
とても、とても力強かった。

「ok!じゃあ綺麗にカットしてあげるわ♪」

「お願いします」

松美は貞子とお別れする。