「お邪魔しまーす…」

返事がない。

「入るよーん」

「松美?」

松美は布団にくるまって、ベットの上に団子のように乗っかっていた。


「…ごめんね」

「別に。…今までもこうやって引きこもってたわけ?」

「…うん」

「それは良いけど…とにかく、俺たちは犯人見つけなきゃなんねーの。
根っから断ち切らねぇと、だんだんエスカレートしてくんだからな」

「…いいよ」

「何が?」

「犯人探し…止めよう」

「…何で」

「今までもそうやってきたの…
犯人探してどうするの?
私…その方がエスカレートしちゃうと思う」

「そりゃ犯人捕まえたら…
言って聞かせる、もうやんなって」

「そんなの…効果なしだよ
むしろ春樹まで標的になる…かも」

「お前なぁ、さっきからかもかも、かもかもって、やってみなきゃわかんねーだろ?」


「わかるの!」

松美が布団から出た。

「わかるよ…私いじめられっこ歴
年齢とそんな変わんないだよ。

ずっと…ずーっといじめられてきたの

春樹…君も凛君もわかんないと思うけど

皆が楽しくやってる間…
私ここで泣いてた…
何年間も
学校から帰ってきたらずっと

でも…絶対高校で勉強したかったから
高校やっと入ったら
またいじめられて…

そこから逃げて奏春高校に来て…
やっと2人と話せるようになって

でもまたコレ…
笑っちゃうよ」

松美は背を向けたまま話した。
ボッサボサの頭で。

「じゃあやっぱ悪いのお前じゃん」

「…」
松美は応えない

「春樹…やめときなよ」