ピンポンー

「はーい」

女の人の声だ。

「あ、え…と」

「友達の凛と春樹です!」

「おい凛!」(小声)

ドアが開いた。

「あら、どーぞどーぞ」

優しそうなお母さんが迎えてくれた。

「ごめんね、わざわざお見舞いまで」

「いえいえ…」

「彼方もこれで何度目かわからないわ。

やっとあなたたちみたいなお友達ができても、またいじめって…

ほんとに可哀想で、でも私達ももうやれることがないのよ…」

悲しそうな優しい笑顔が痛々しく思えてしまう。


どれだけその目を泣きはらしてきたのだろうかと。

「あの、話できますかね」

「会ってみて。まともな会話にならないかもしれないけど…」

「はい、ありがとうございます」