幸治のことが 知りたいと思った あたしの事も 知ってほしいと思った。 「あたし、お父さんがいないの。」 いきなりそんな暗い話をしたのには はっきり言って自分自身引いた。 でも幸治なら、 「そうなんだ。」 ―ああ、 幸治は引くわけでもなく、 でも同情する様子はなく そう答えた。 なぜか分からない でも、涙がでた。 幸治は気付いていたのだろう。 でも、気付かない振りをしてくれたようだった。