泣いた目ってやつ。


何となく?
ふれないように。


いや?

目を合わせないように、原田さんの歩くスピードに合わせて自転車を引いていた。


「荷物置きますか?」


原田さんを見かける時は、いつも買い物袋を持っている印象があった。


「優しいのね?」


そう言って、カゴの中へ荷物を入れた。


「眠れなくて…散歩してたの…。」


静まり返った住宅街の道。

電柱の光と自転車のライトだけが俺達の行く先を照らしてた。

「そういう時ありますよ!」


「そうだよね……。」


原田さんは何度も頷いた。