カチャ♪


自転車に鍵を突っ込んだ瞬間。


麻衣が腕を掴んできた。


「こういう事されるの、苦手なんだ。」


何だよ!
もう帰りたいんだ。


冷たくなった手が強く、俺の右腕を離さない。


「もう一度…聞く。」


弱々しい声。

さっきのけだるい声とは、別人のようだ。

女って変わるもん?

最初から普通に飲めって。


「友達だめかな?傍にいたいの…」


「腕、離してくれないか?」


強く捕まった手が、やっと解放された時。


「いいから?一人位誰かを信じてみたら?」