久しぶりに会ったのに…。


声すら掛けられないじゃん。


あんな顔見たら…


何かを我慢してるような顔見たら、動けないじゃん。


誰か?


亡くなったんだと


原田さんの姿で分かったのに。

きっと、淋しいだろうに。


何やってんだ?俺……。


どうする事もできないで。


ただ黙って見る事しかできない。



俺は、自転車をゆっくりと走りながら自分の心の狭さを、痛感した。



そして。


バイト先のフェンスに、


また一人。


遠くを眺めている、麻衣が…


立っていた。