亮との沈黙は、俺にとって長く感じた。


「幸せな家庭を、土足で入るのって、楽しいか?」


亮は、真剣だった。

でも、筋が通っているから逆に何も言えない。


「好きな気持ち、分かってるけどさっ!引く事も肝心じゃねぇの?」


亮がそこまで言うとは、考えつかなかった。


「付き合いたいとか、思ってないんだ!」


俺の正直な気持ちを、真っ直ぐぶつけた。


「意味わかんねぇよ?好きだったら、自分のもんにしたいとか思うし…。」


亮はライターをクルクルと、回しながら目は遠くを見ていた。
落ち着かない様子が、伝わってくる。


「俺たち、男だし…好きな女を前にしたら?…わかるよな?」

「意味わかんなくても、構わないんだ!だけど…麻衣には、心が動かないんだ。」


そう言うと、再び黙り込んだんだ。