家に着いたら、お袋が待っていた。


「ちゃんと食べてるの?」

「…食べてるよ!」


この頃、嘘つくのが平気になった。


自分の部屋に入ると、出ていった頃と変わらない景色が見えた。


都会から、少し離れた町。

遠くには、枯れそうな向日葵が見える。


勉強しなきゃな?


取り戻さなきゃいけない。

鞄からテキストなどを、机に出すと白い紙が一緒に、出てきた。


あっ!

麻衣からの…。

そして、亮と約束した事を思い出した。


早速、携帯から麻衣に初めてメールを送る。


『ごめん。しばらく、実家に帰ってます。』


何だろう…。


麻衣は、俺が原田さんを、見ていた事。


分かってたんだよな!


勉強のつもりが、なんだかはかどらない。


頭に入らない…。


一階から、久しぶりのお袋が作る夕飯の臭いがした。


『トントン♪』


「敦?入ってもいいか?」