「ねぇ、俺のことどう思ってる?」
『どうって…』

そんなこと、いきなり言われても…

「じゃあ、俺のこと嫌い?」
『っ!嫌いなわけっ…』

そう言いながら振り返ると、

ギュッ

抱きしめられた。

え?なんで抱きしめられてんの?

「俺のこと好きになれよ…」
「好きなんだよ、お前のこと」
「いいかげん振り向けよ…」

櫂は泣きそうな声でそう言った。

初めてそんな櫂を見て、あたしは、
どうすることもできなかった。

「悪い…」

そう言って櫂は去っていった。
しばらく、あたしは動けなかった。