じっと見つめていると、視線に気がついたのか鴻上くんがこちらを向いた。 その顔はいつもと変わらない。 「なに?」 「あ、ううん。なんでもないよ」 やっぱりあたしの気のせいか。 まあそうだよね。女の子にモテモテの人が、平凡なあたしに照れるわけないか。 「行くよ、ワンちゃん」 「うん」 あたしは鴻上くんのあとについて映画館に入っていったのだった。