早歩きで、黒坂 蓮というそいつについていく。
数分もしないうちに近くのコーヒーショップに入った。
そいつはコーヒーを2つ頼んで、店員から受け取った。
夕方の時間帯は店内も人が多い。2人席に向かい合って座る。
私はそいつに一番聞き高いことを聞いた。
「ねぇ」
「ん?」
「なんで私の名前知ってんの?」
すると、そいつはニヤリと企んでるような笑みを浮かべる。
「なんでって?なんでだろうねぇ」
なんだかはぐらかされてるみたいだ。
「とぼけてないで答えてよ」
明らかに私よりは年上であろう、そいつに遠慮もなくタメ口で話す。
「テレパシーだよ〜俺なんでも分かっちゃうからさー!」
バカなのか本気なのか一瞬疑った。
「てかさ、俺のことは蓮って呼んでな!あ、連絡先交換しようよ!ケータイ貸して!」
なんて強引なんだろうか。
それでも私は何も拒むことなく、あっさりと鞄からケータイを取り出し、そいつ……蓮に渡した。
自分でもびっくりする行動だ。
そもそもナンパ男にひょいとついて行く時点でおかしかった。だけど、どうしても蓮が気になった。なんで初対面の私の名前を知ってるのか。それだけが気がかりだ。
蓮は自分のケータイと私のケータイを向かい合わせにして、連絡先を交換した。
…なんでそんなにニヤついているのだろうか。
はい、と返されたケータイにはきちんと蓮の連絡先が入っている。
「暇ならさ、いつでも連絡よこしてな。相手してやる」
相手してやる。の意味がいまいちよく分からないが適当に「うん」と頷いた。
コーヒーの飲む蓮の腕には血管が浮き出ていて男らしいってこういうことなんだと感じる。思わず触りたくなった。
「蓮って何歳なの?」
「20だよ。この街の古着屋で働いてる」
やっぱり。年上だ。
「20か。じゃあ遊びたい放題だね」
皮肉交じりで、だけど羨ましくってボソッと言ってしまった。それを蓮は聞き逃さなかった。
「まぁ、遊びたい放題って言ったらその通りだな。こーやって柚希ちゃんと遊べてるわけだし。コーヒー飲んでるだけだけだどね」
ははっと笑う。こいつ、何がそんなに面白いのだろうか。
「柚希ちゃんは?お前高校生だろ?」
「なんで高校生って分かる?」
「いや、体つきと話し方でなんとなく」
私はまだ、大人にはなれてない。
蓮の言葉で痛感する。
「その通りだよ」
「高校生はあんまりこの街来ないほうがいいんじゃねぇ?危ないところもあるし」
「蓮みたいな奴もいるしね」
「はー?俺は危なくも何ともねぇよー」
そう言って頬を膨らます。拗ねたような表現をして、コーヒーを飲み込んだ。
「いいの私は。この自由な街が好きなの」
「変わった奴だなー。俺の知り合いの高校生はこの街を毛嫌いしてるけどな」
「私の友達もそうだよ」
頬杖をついた蓮が私をじっと見つめる。
その綺麗な二重の目で見つめられると、全て見透かされてるよう。
「やっぱ変わった奴」
また笑うんだ。
もう何とでも言いなよ。と投げすてるように言って、私はコーヒーを一口飲んでみた。
苦い味が私の口内を侵食する。
蓮が店員に注文するとき、コーヒーが苦手なんて言えなかった。
やっぱり私はまだ大人になれない。
この街に溶け込んでなんていない。そう思い込んでるだけ。
数分もしないうちに近くのコーヒーショップに入った。
そいつはコーヒーを2つ頼んで、店員から受け取った。
夕方の時間帯は店内も人が多い。2人席に向かい合って座る。
私はそいつに一番聞き高いことを聞いた。
「ねぇ」
「ん?」
「なんで私の名前知ってんの?」
すると、そいつはニヤリと企んでるような笑みを浮かべる。
「なんでって?なんでだろうねぇ」
なんだかはぐらかされてるみたいだ。
「とぼけてないで答えてよ」
明らかに私よりは年上であろう、そいつに遠慮もなくタメ口で話す。
「テレパシーだよ〜俺なんでも分かっちゃうからさー!」
バカなのか本気なのか一瞬疑った。
「てかさ、俺のことは蓮って呼んでな!あ、連絡先交換しようよ!ケータイ貸して!」
なんて強引なんだろうか。
それでも私は何も拒むことなく、あっさりと鞄からケータイを取り出し、そいつ……蓮に渡した。
自分でもびっくりする行動だ。
そもそもナンパ男にひょいとついて行く時点でおかしかった。だけど、どうしても蓮が気になった。なんで初対面の私の名前を知ってるのか。それだけが気がかりだ。
蓮は自分のケータイと私のケータイを向かい合わせにして、連絡先を交換した。
…なんでそんなにニヤついているのだろうか。
はい、と返されたケータイにはきちんと蓮の連絡先が入っている。
「暇ならさ、いつでも連絡よこしてな。相手してやる」
相手してやる。の意味がいまいちよく分からないが適当に「うん」と頷いた。
コーヒーの飲む蓮の腕には血管が浮き出ていて男らしいってこういうことなんだと感じる。思わず触りたくなった。
「蓮って何歳なの?」
「20だよ。この街の古着屋で働いてる」
やっぱり。年上だ。
「20か。じゃあ遊びたい放題だね」
皮肉交じりで、だけど羨ましくってボソッと言ってしまった。それを蓮は聞き逃さなかった。
「まぁ、遊びたい放題って言ったらその通りだな。こーやって柚希ちゃんと遊べてるわけだし。コーヒー飲んでるだけだけだどね」
ははっと笑う。こいつ、何がそんなに面白いのだろうか。
「柚希ちゃんは?お前高校生だろ?」
「なんで高校生って分かる?」
「いや、体つきと話し方でなんとなく」
私はまだ、大人にはなれてない。
蓮の言葉で痛感する。
「その通りだよ」
「高校生はあんまりこの街来ないほうがいいんじゃねぇ?危ないところもあるし」
「蓮みたいな奴もいるしね」
「はー?俺は危なくも何ともねぇよー」
そう言って頬を膨らます。拗ねたような表現をして、コーヒーを飲み込んだ。
「いいの私は。この自由な街が好きなの」
「変わった奴だなー。俺の知り合いの高校生はこの街を毛嫌いしてるけどな」
「私の友達もそうだよ」
頬杖をついた蓮が私をじっと見つめる。
その綺麗な二重の目で見つめられると、全て見透かされてるよう。
「やっぱ変わった奴」
また笑うんだ。
もう何とでも言いなよ。と投げすてるように言って、私はコーヒーを一口飲んでみた。
苦い味が私の口内を侵食する。
蓮が店員に注文するとき、コーヒーが苦手なんて言えなかった。
やっぱり私はまだ大人になれない。
この街に溶け込んでなんていない。そう思い込んでるだけ。