何より、明日も普通に学校がある。

寝坊して安藤にバカにされるのだけはごめんだ。

だから、せめて20時にはこの街を出る。自分で決めたことだ。


「そっか。寂しいけど気をつけてな」

私達は路地裏を抜け出てさっきの大通りに戻った。

人はもっと増えていて、これからが月が丘がにぎやかになる。


蓮は私を月が丘駅の改札まで送ってくれた。

「蓮はこれからどーすんの?」

「んー?テキトーにだらーっとして帰るよ」

「そか」

だらーっとって何がどういうことなのかさっぱり分からないがとりあえず返事をした。


「じゃ帰る」

私は蓮に向かってそう言うと踵を返して改札を出た。


「じゃーなー!柚希ちゃん!」

後ろから何よりも大きい声が聞こえた。