あまりにもじっくりと見てたせいか、蓮に、変に見られてしまった。

「なんでもないよ」

「もしかして、惚れた?」

「あり得ない」


誰もいない裏路地に二人だけの声が響く。もう少しでここも、風俗の看板が光りだすだろう。そしたらにぎやかになる。


「俺今日、仕事終わったんだー」

「へー」

「だから遊ばねぇ?」

ニコッと笑って私の返答を待つ。
街灯が蓮の顔を照らして、キラリと光った。眩しいくらいだった。

「悪いけど帰るね」

この街にいるのは好きだけど、深い夜になるとかなり危険な街になる。

若者がすごく多い街で、ドラッグを売買する人とか不審者の情報も聞かない日はない。

かつて殺人事件や、高校生の女の子が男に襲われた話も聞いた。

恐ろしい街だ。そんな奴らが紛れ込んでいるのだから。