「…てか、こんな道の真ん中にいたら迷惑」


私たちは、少し歩って人通りの少ない裏路地に来た。


人影もなく、ちょっと暗い路地だ。


蓮は相変わらずの調子で、ポケットに手を突っ込み、片方の手で自分の髪をクシャクシャしている。

「柚希ちゃんがこの街に来てないかな〜って俺いつも探してたんだけど」

「私結構な頻度で来てるけど。ほぼ毎日」

「まじで?なんで会えねぇんだろうな」

はぁー。とため息をつきながら地面を蹴る。ドン、と鈍い音がした。