蓮の胸の中はかすかな暖かさがあった。

私の耳元に口を寄せられる。唇が触れるか触れないかの距離がくすぐったい。

「メール返せよ。心配すんじゃん」

「は?返したじゃん。死ねって」

「それだけだろ返してくれたの」

か細い声でそう呟くと一層強く抱きしめられた。

私はさっきの気持ち悪いナンパ男にしたように、蓮の胸を突き放した。

そして、蓮の目を見て……いや、睨んで吐き捨てるように言う。

「彼氏でも何でもない奴のメール返信してる暇ないから」


そう、蓮はただのナンパ男。

「だって柚希ちゃんのこと気になるし」

頭をポリポリ掻きながらぼそっと言う。

こういう軽い発言を鵜呑みにしないほうがいい。

あとで痛い目見るから。