電車に揺られていると、頭がぼやっとしてこのまま寝てしまいたくなる。


次の駅を知らせるアナウンスで私の目は覚めた。この駅で降りなきゃいけない。


電車のドアが開くと、席から立ち上がってホームに降りるのは10代か20代の若い人だけだ。うるさい音楽の音と笑い声とタバコの匂いがもう漂っている。


18歳の私は多分、この街に溶け込んでいるのだろう。どんなに成績が悪くても人柄がよくなくても、この「月が丘」といる最悪な街は全てを飲み込んで許してくれるんだ。

私はその月が丘の甘さに引っ掛かっているだけ。