「はーい!じゃあニノちゃんは仕方なく安藤に奢ってやれ!はっはっは!」

店長まで安藤の味方についた。

店長、もう早速厨房に戻って作り始めちゃったし。


とりあえず私たちはテーブルに座る。

「そーいやさ、」

途端に安藤が口を開く。

「何?」

「進路決めた?今日渡された進路希望のプリント書かなきゃだろ」


そう、これでも私たちは18歳。高3。

進路を決めなくちゃいけない。

季節はもう秋の始まり。そろそろ本格的に決める時期だ。

とは言っても私と安藤はかなり進路決定が遅れていて、クラスの中にはもう受験を終えた人や面接がある人が沢山だ。

「まだ決めてないよ」

「そっか。そろそろ決めなくちゃヤバくね?」

「やばいね」


正直、この先のことなんて全然考えてなかった。テキトーに生きてればいいやって思ってた。


「安藤は決めたの?」

「とりあえずスポーツの専門学校」

「そっか」

安藤は元々サッカー部だった。部内ではかなりうまくてゲームキャプテンを務めてたくらいだ。

スポーツ関連の進路に進むっていうのはなんとなく分かっていた。

「二宮、ほんとにちゃんと考えろよ」

「あんたに言われたくないよ」

「俺は意地でも決めたし!明日には提出するし!」

「うん……」

「大学行くの?専門?就職?」

「決めてない」

「じゃあ将来の夢は?」

「ない」

「何の夢もねーのかよ…」

安藤は呆れたような、困ったような顔をして髪の毛をかく。

「ないよ。私、多分ニートになるかもしれない」

「おいおいそれだけはやめろよ〜」


安藤って何も考えてないようで将来のこととかちゃんと考えてるからすごい。