それから、授業が終わって、安藤が頬に書かれてた落書きに気づくのは、放課後に安藤がトイレに行った時だった。


それから、安藤に夕飯を奢らせられる羽目になったのは言うまでもない。

放課後、落書きの罪として安藤はラーメンを奢ってくれと私に頼んだ。



やってきたのは学校から20分ぐらい歩ったところにある路地裏のラーメン屋。


安藤が見つけた、隠れ家的な店だ。

店内の雰囲気はとても落ち着いていて、ラーメン屋とは思えないおしゃれな内装。

なのに客は私たち以外誰もいない。

ほんとに生活できてるのかな、と思うほどにいつも人は少ない。味は絶品なのに。


「おじちゃーん、来たよー!」

そして安藤と私はこの店の常連だったりする。安藤がこの店を見つけてからよく来るようになった。


「おー安藤とニノちゃん!いらっしゃい!」

ここの店長のおじさんは私のことをニノちゃんと呼ぶ。それがなんだか私は好きだった。


「おい二宮、今日はお前は食うなよ?俺に奢るだけにいるんだからなお前は」

「やだよ!私も食べる」

「二宮絶対金ないだろ!俺今日、味噌ラーメンにトッピングはコーンとバターとチャシューな!」

「は?ちょっと待って待って!そしたら私今日食べるお金持ってきてないよ!」

「だから二宮は今日は食うなよ!」

「嘘でしょ………」


はははっと他人事のように笑う安藤に腹が立つ。