それから、蓮とはなんだかんだで1時間半も話してしまった。

蓮は自ら自分のことをたくさん離す。

高校を卒業したら、すぐにいまの古着屋の仕事についたこと。

洋服が大好きで、他人をコーディネートするのが大好きなこと。

最近まで付き合ってた元カノに会って気まずかったこと。

元カノは数え切れないくらいいて、よく女絡みのトラブルに巻き込まれること。



ほとんどどうでもいい話。
私が相槌をいれる隙もないくらい、蓮はずっと話してた。
それを私は、飽きずにずっと聞いていた。

一通り蓮の話が終わったと思えば、今度は話題が私に向けられる。

「柚希ちゃんは?彼氏とかいないの?」

「いないよ。」

「そうなんだー。どのくらいいないの?」

「18年間、彼氏なんていたこと無い」

「え?!まじで言ってんの?!」

目を見開いて、かなり驚いた表情を見せる。
そんなに彼氏がいないことが意外だったのか。

「柚希ちゃんぜってーモテるっしょ?あ、もしかして彼氏作らない主義?」

「違うよ。単に好きな人ができないだけ。」

「へぇ。なんか柚希ちゃんの理想の人ってハードル高そ」

「さぁどうかな」

蓮は最後の一口のコーヒーを飲んで、また手を伸ばして私の髪を触る。

色っぽい蓮の唇が動く。

「じゃあ俺、柚希ちゃんの最初の彼氏になろっかな」