幕から、エプロン姿の女の人がでてくる。
…うわぁ…
なんか、オーラがある人だなぁ…
「お、きたきた…」
左側にいるそうちゃんが、
こそっと耳元で囁く。
うぁ…左側が熱い…
さっきから劇に集中してたから
気づかなかったけど、
そうちゃんとの距離が近すぎて…
「あれ、従姉妹の葵。」
え!
そっか…あの人が……
舞台と客席のこの距離でも、
美人なのがわかる……
親戚一同こんな感じなのかな…
うわ、絶対そうちゃん目が肥えてるじゃん…
道理で、
かわいい女の子の告白にもなびかないわけだ。
…って、それは関係ないかもしれないけど…
「…すごい、キレイな人だね…」
私もこそ、とそうちゃんに話しかける。
「あー…まぁ、そうだな。
世間一般から見たら。
ただ、中身がちょっと難ありなんだよな…」
……中身が?
ぜんぜんそんな風に見えないなぁ…
おしとやかで優しそう。
さっきから数々の武勇伝を聞かされてたから、
面白くて騒がしい人なんだろうなぁ、って思うけど。
