ひよこ。





ピンポーン…

インターフォンがなって

下から少しの間話し声が聞こえた後、

お母さんが私を呼ぶ声が響く。

「はーい!今行く!」

私はそれに適当に返事をすると、

部屋の姿見の前でくるりと回ってみせた。

大丈夫、だよね…?

ついに…ついにこの日が来てしまった…

少しでも"かわいい"って思って欲しくて、

なんていうのは図々しい話ではあるけれど、

それでも朝早くに起きて頑張ったから、

心の中だけでも思ってくれてたらいいなぁ、

って思って色々頑張ったんだ。

髪も巻いたり捻ったりまとめたりして

いつもより難しい髪型にしたし。

メイクだって、いつもより念入り。

今日のために買ったコスメだってあるし。

…それが恋コスメとやらだというのは、

私だけのヒミツだけど…

自分がその恋コスメを買う日が来るなんて

思わなかったなぁ…

「よし…」

私は小さく呟くと、1階へ降りていった。

…はたから見たら変人なのはわかってますって。

いってきまーす、

と言いつつドアを開けると、

目の前には当たり前だけどそうちゃんがいて。

でも、私服姿だし、

今日はデートだ、って

勝手に頭にインプットされちゃってるからか、

どうしようもなくドキドキした。