「…っていうか、なんで竹井が奏太郎の家知ってんの。
お前も奏太郎の追っかけ?」

追っかけって…

そんなことする人がいるってことかなぁ?

「違うよ!実は、そうちゃん…あ、柴崎くんとは幼馴染でね、それで、お母さん同士が仲良いから家の場所少しだけ聞いたの。」

「えぇっ!そーだったのか!
ぜんっぜん知らなかった…」

「うーん、まぁたぶん、柴崎くんは覚えてないから…」

「へぇ、そうなんだ…」

聞いていた道は何となくだったから土地勘があるとはいえ少し不安だったけど、なんとか"柴崎"という表札に辿り着いた。

家につくなり、なんの遠慮もなく樋口くんがインターフォンを押すから、慌てて 「あ、じゃあ私帰るね。」とだけ声をかけてその場から逃げた。