「え、陽依、泣いてる?」
「うそ!ちょ、泣かないで!!」
そうちゃんの言葉に、みんなが私をみる。
「な、泣いてない泣いてない!!!!」
私は、じわりと浮かんでいた涙を慌てて拭った。
自分でも予想外のことだったから、焦ってしまう。
そうちゃんの手が近づいて、頭をぽん、としてくれた。
どうして涙が出たんだろう。
みんなよりもやる気のなかった自分が、どうしようもなく悲しくて、悔しくて。
絶対泣いてたでしょ!って茶化しながらも、もらい泣きしている子もいて、自分のせいでこうして悔しい思いをさせてしまったのが申し訳なくなる。
少し恥ずかしくなって、もう一度ゴシゴシと涙を拭った。
「ごめんね、なんか悔しくて。」
そうやって眉を下げて笑う私に、がんばったよ、おつかれ!と声をかけてくれる5組のみんなは、寛大すぎると思う。
気持ちを吐き出せたからか、優しい言葉をかけられたからか、心がすっと軽くなった。