そうちゃんは、びっくりして目を丸くする。
「…っ私は、そうちゃんとなかよくしてるからっていじめられたりしても怖くないし、そうちゃんと会えなかった9年間を取り戻すことのほうが、ずっとずっと大事だよ…!」
予想以上にぽろぽろと言葉が零れて、ずっと思っていたことを言えたのだと、心が軽くなった気がした。
「…またそうちゃんって呼んじゃ………だめ?」
そう言うと、そうちゃんは瞳を揺らして、一瞬迷ったように俯いた。
…やっぱり、ムリかな…
「………いいよ。
俺も、ちゃんと幼馴染みとしてやり直したい。」
私は、ゆっくりと顔をあげる。
…よかった……
安堵からか、涙腺が少し緩むのを感じた。
…同じ気持ちだったのかな…
「そうちゃん、にも、またあの時みたいに呼んでほしい…」
おそるおそる、というように、そうちゃんの服の裾を掴んで言う。
「…………さすがに高2にもなって
"ぴよちゃん" はちょっと………」
そうちゃんは、首に手を当ててうつむきがちに言った。
それに私はがっくりと肩を落とす。
うん、まぁ、でも…たしかに。
高校2年生の男子が「ぴよちゃん」って、それも大真面目に言ってるとこ想像したら、さすがにアウトだな、なんて思ってしまう。
