ひよこ。


『柴崎くんのこと、好きなんでしょ?』

優香ちゃんの事を思い出すと、つい思考がストップしてしまう。

…せっかくさっきまで、ケーキ作りに夢中で忘れてられたのに。

このまま逃げていちゃダメなのはわかっているけど、考えたくない、と思ってしまう。

私はそうちゃんが好き。

私はそうちゃんが好きではない。

どちらにせよ、自分の中でしっくりこなかった。

「…ほら、陽依。何ぼーっとしてんの。」

その言葉にハッとして、私はエプロンを外した。

「4時半くらいに家出るから、それまで準備しておいてね。」

私はその言葉を背に、はーいと返事をすると、部屋へ戻った。