ひよこ。


「えー、俺、奏太郎いねぇと男子1人で居づらいんだけど〜…」

樋口くんは口を尖らせる。

そんなこと言っておいて、羽奈ちゃんと話したいクセに。

そう思いながらじっと樋口くんを見る。

視線に気づいた樋口くんは、なんだよ、と怪訝そうに私を見た。

なんでもなーい、なんてニヤニヤしながら返す。

「あれ、そういえば陽依、借りてた教科書返さなくていいの?」

羽奈ちゃんに言われてハッとする。

そうだった!

さっきの化学の授業、教科書忘れて違うクラスの子に借りてたんだ!

私は急いでお弁当を食べて、教科書を返しに教室を出た。