彼の苦悩



バタバタと小さくなっていく足音。


捕まれたせいでシワになってしまったカッターシャツ。


村瀬が困ったような顔をしながら私の前にきた。


「大丈夫か?」


「別に大丈夫。」


本当はかなり怖かった。


でも、村瀬に怖いなんて言ってもしょうがない。