「いいよ、全然。
大学生って暇だから。
いつでも相手してあげるよ!」
「いつでも?」
「うん、いつでも。
たとえ忙しくても美帆ちゃんのためなら時間作るよ」
ニコッと笑う圭祐くん。
ああ、もう。
ずるい。
そんなこと言われたら少し期待してしまう。
でもね、分かってる。
あたしはそんなに純粋じゃないもん。
今のがお世辞だってことくらい、知ってる。
「そう言えばさ、今日なんかいつもと雰囲気違うね」
「そんなことないですよ」
平常心を装う。
「髪の毛…かな?
似合ってる」
「そんなお世辞、いらないですよー」
ははっと笑って見せる。
やばい。
どうしよう。
嬉しい。
お世辞だと分かっていても、嬉しい。
「お世辞じゃないんだけどなあ」
ユウならこの一言も真に受けるんだろうけど。
あたしの性格は、そんなに単純じゃないから、
だから、信じない。
信じてないんだけど、でも。
嬉しい。