地元の駅。

待ち合わせ場所の時計台の下で少しドキドキしながら、

でもそんな気持ちを隠すようにスマホでニュースなんか見たりして。


なんか、思ってた自分と違う。

と自分で自分を笑う。


どこが良かったのか、なんて分からない。

どういうところに惹かれたのかも分からない。


勉強を教えてもらって。

たまたま趣味が同じで。

バイト中、気さくに話しかけてくれて。

あたしより後にバイトを始めたのに、すぐに仕事に慣れて。

テキパキと働く姿にドキッとした。


これが恋だと気づかないフリをしたかった。


でも、そうできないほどに会えば会うほど、

話せば話すほど、もっともっと、と求めてしまう。



「待った?」


少し低い声。

顔を上げなくたって分かる。


胸のドキドキが聞こえていないかと心配になるほど鼓動がうるさい。


「ううん、待ってないですよ」

顔を上げて、ふっと笑って見せる。


果たしてうまく、笑えただろうか…