「今日、記念日だったんだろ。

…おめでとう」


「え、あ、うん。ありがとう」


トシの口からそんな言葉が出てくるとは思わず、戸惑う。



「…じゃ、俺メシ食べるから」


一方的にそう言い放ち、

わたしの言葉を待たずして窓とカーテンが閉められる。



どうしたんだろう。

何か、あったんだろうか。

変だ。

今日のトシ、絶対に変だ。



さっきまで幸せな気持ちでいっぱいで、

ナオくんで頭がいっぱいだったはずなのに。


なんでわたし、トシの心配なんか…


首をブルブルと横に振る。


トシだって人間なんだもん。

気分の良くない日だってあるだろう。

わたしにだってそういう日あるもん。

うん、きっとそうだ。


わたしはひとりそう納得して、

パジャマを持ってお風呂へ向かった。