「バイト、お疲れ様」


「…うん」


そのあとの会話が続かない。

あれ?

いつも、何話してたんだっけ。


トシをチラッと横目で確認すると、

目を伏せてどこか1点をじっと見つめているようだった。



「…なんか、元気ない?」


特別何かがおかしいと思ったわけじゃない。

でも、いつもと違う気がして、そう聞いた。



「別に」


いつもと同じ言葉なのに。

よく言われることなのに。


やっぱり、何かが違う。


もう少し踏み込んで聞いてみようか。


そう思い、口を開こうとした。

でも


「今日、」


とトシに遮られる。



窓は開いている。

手を伸ばせばギリギリ届く。


なのに、どうしてだろう。



今、この瞬間。


すごく、トシを遠くに感じる。