来た道を戻ればよかった。

どこか寄り道をして帰ればよかった。

せめて、目を伏せてその場にいればよかった。



どうして、目が離せないんだろう。


自分を苦しめるだけだ、って分かってるのに。



直斗先輩はユウの頬に手を当てて、

ユウは少し照れくさそうに、だけど視線は斜め上。

そうして2人は見つめ合う。


そう。

それはドラマなんかでよく見る光景。


このあと2人がどうするかなんて分かってる。


見たくなんてない。


見たくなんてない。


見たくなんて…ないんだけど、

でも。


その2人の姿から目を逸らすことができない。



…ああ。

もう。


その場にうずくまりそうになる。



ユウと直斗先輩の距離は縮まって。


2人は、キスをする。


そして少し離れて照れくさそうに微笑む。



胸が…張り裂けそうだ。