「ほんとはさ、今すぐ家に帰りたいと思ってるでしょ?」


美帆ちゃんはそう言って頬杖をつく。

そして俺を見つめた。

あんたの胸の内なんて手に取るように分かってるのよ、と言わんばかりの顔で。



「うん、思ってるよ」

そんな相手に見栄を張ったって、ウソをついたって仕方がない。


正直に言った方がいいに決まってる。

見栄を張るのは、

ウソをつくのは、

疲れるんだ、すごく。



「あたしにはそうやって言えるのに、

どうしてユウ相手だと素直になれないの?」


「美帆ちゃん」


俺は苦笑いをする。



「それは俺が1番知りたい謎だね」


誰か、教えてくれ。

なんで俺はユウに素直に気持ちをぶつけられないんだろう。