高校に入学して、わたしは軟式野球部のマネージャーになった。

なぜなら、変わらず野球が好きだったから。

でも、理由はそれだけじゃない。


「しばたー!重いだろ?俺が持つよ!」

バッティング練習用のボールを運ぶわたしの肩をトンと叩くこの人がいたから。


「マネージャーの仕事なんで、
全然気にしなくて大丈夫ですよ!

直斗先輩!」


安藤 直斗(アンドウ ナオト)

1つ上の先輩で、中学の野球部で出会った。

直斗先輩が3年生のとき、先輩はキャプテンで4番だった。

ポジションはキャッチャー。


みんなをまとめるその後ろ姿に何度、

”かっこいい”

そう思っただろう。


この気持ちが


『憧れ』


なのか


『好き』


なのか。


わたしの中でその答えはまだ、出ていない。