「ユウってさ、単純だよね」


「え?いきなり?」


ある日のお昼休み。

わたしの机に座って美帆が言う。



「告白されたときはさ、どうすればいいんだろう、なんて悩んでたくせにさ。

なんなの?その浮かれ度合いは!」


美帆はそう言ってわたしの手元に蔑んだ眼で視線を送る。



「1ヶ月記念だから、手作りのお守り?

はあ?何ソレ。

口の中に甘味しかなくて、胸やけがするわ」


そ、そこまで言いますかね、美帆さん…



「だって他に何も思い浮かばなかったんだもん…」


ふーん、と言いながら美帆はわたしの手から9割方完成したお守りを取りあげる。


「好き、なのね」


「え?」


「付き合う前はよく分かんない、って感じだったけど

今は好きなんだよね?直斗先輩のこと」


「え…うん、好き、だよ?」


美帆はいつも唐突で、

何を考えているのか分からない。



「…単純」


え?

結局、それが言いたかったの?