「おはよう、ユウ!」


教室に入るといたって元気そうな美帆が手を振っている。



「…おはよう」


荷物をおろし、席に座って、


「はあ…」


出てしまう、ため息。



「なになになに!!

なんで朝からそんなにテンション下がってんのー?

悩み事?この美帆様が聞いてあげようじゃないの!」


ほんと、元気だなあ、美帆って。



「昨日の夜、トシとケンカしてさ」


「そんなのいつもじゃん」


「うん、まあそうなんだけど。

でもいつものじゃないケンカをしたの」


「ああ、イチャつきじゃないケンカね」


「………」


思わず黙り込む。

なに?イチャつきじゃないケンカって。


「あ、ごめんごめん。スルーして。

んで、どうしてケンカしたの?」


引っかかりながらも促されるがままに続きを話す。


「昨日ね、直斗先輩に告白されてね、それで…「ちょっとストップ!!」


美帆が手でわたしの話を制する。


「え、待って。

なに?今、なんて?」


「だからね、直斗先輩に昨日告白されたの」


その後、教室に美帆の叫び声が響いたことは言うまでもないだろう。