『今日、』
沈黙を破ったのはトシだった。
涙は、落ち着いていた。
まるでわたしの気持ちが落ち着くのを待っていたかのようなタイミングだった。
『泣いてるふたりを見て、気づいたんだ』
「何を?」
『涙を、泣いている姿を見たくないのは、
ユウのほうだ、って』
ドクン、と鼓動が大きく鳴った。
でもなんだか恥ずかしくて、
くすぐったくて、
嬉しくて。
だから
「バカじゃないの」
と、少し笑いながら答えた。
『ほんと、バカだよな。
なんでよりによってユウのほうなんだろうな』
「何それ!」
『だって誰がどう見たって、
あかりのほうが可愛いし、性格がいい』
「うわ、最低!うざい!」
さっきのトシの言葉は空耳だったのだろうか。
そう思うほどに軽口をたたくトシ。
でもきっと、それはトシの照れ隠し。
わたしにはわかる。
『でも俺の中じゃ、あかりよりユウなんだ。
傷ついてほしくないのは、
いつだって笑顔でいてほしいのは、
ユウなんだ』
やっぱりさっきの言葉は空耳なんかじゃなかった。
『だからあかりと別れた』


