どのくらい、そうしていたか分からない。
紫色だった空は、黒一色になっていた。
こんな時、月だって顔を見せるのはイヤだよな。
「あかり。
何があった?」
静かになったあかりの顔を覗き込む。
でもあかりは俯いて顔を見せてはくれない。
「偶然、ユウちゃんに会ったの。
無視するのも変だし、少し話をしたら別れようと思ってた。
そしたらね、ユウちゃん、言うの。
最近、トシとどう?仲良くやってる?って。
アイツ、うざくない?って。
笑顔で、わたしにそう聞いてきたの。
なんなの?ってものすごく腹が立った。
こっちは今、ユウちゃんのせいでぎくしゃくしてるのに、
仲良くやってる?ってなんなの?って。
うざくない?って自分のほうが俊哉のこと分かってる、みたいな顔で言うのがものすごくイヤで腹が立った」
溢れ出そうになる感情をぐっと堪える。
「だから、言ったの。
そういうのやめて、って。
ユウちゃんが現れたせいで俊哉がおかしくなった。
だからお願いだから、いなくなって、って」
「なんで」
堪えようと思ったのに、
できなかった。
「なんでそんなこと、言うんだよ。
俺たちがこうなったのはユウのせいじゃないだろ」
決して、ユウのせいなどではない。
だって、
「俺の、せいだろ。
俺があかりを不安にさせるような態度を取ってしまったからだろ」
ユウを責めるのは絶対に違う。
「それに、ユウはそんなこと思ってない。
自分の方が俺のこと分かってる、なんてそんなこと思ってない」
アイツはただ、その場の会話をなんとかして持たせようとしただけで、
そういうアピールをしたかったわけでは決してないはずだ。
ユウはそんなことを考えるようなやつじゃない。
「そういうのが……イヤなのっ!!」
そう叫んだあかりはまた、泣いていた。


