I love youを日本語に





「ユウ?大丈夫?」


色とりどりのボーリングの球が並んでいる。

遠くの方ではトシとあかりちゃんが何やら楽しげに球を選んでいる。


ボーリングの球を選ぶだけなのに、

どうしてあんなに楽しそうなのだろう。


「あ、ナオくん。

どうしよう。

どの重さなら投げられるかなー?」

わたしは笑顔を貼り付けて振り返った。


「ユウ、違う」

「ん?」

「俺が心配してるのはそんなことじゃない」


ナオくんは少し怖い顔をしていた。

本当は何を聞かれたか分かっているくせに
とぼけたわたしに怒っているのだろう。


「大丈夫だよ」

だからわたしはちゃんと答えた。

また、笑顔を貼り付けて。


「……ふーん」

ナオくんは今度は不満げな顔をしている。

なんの文句があると言うのだろう。


「じゃあさ、ちゃんと楽しそうにしろよ。


ウソをつくのも、我慢するのもユウの勝手だけど、

でもそうするんならそんな分かりやすい下手くそな笑顔禁止」

「下手くそな……」

「ごめん、間違えた。

めちゃくちゃ下手くそな笑顔、な」

今度はわたしが不満げな顔をする番だった。


「坂本は気づくぞ。

それで気を遣わせるのか?


そんなことになるくらいなら今すぐ帰るべきだと思う」


トシのことだ。

もうすでにわたしのこのモヤモヤした状況に勘づいているだろう。

でもあかりちゃんに気を使ってわたしには何も言ってこない。



そして、ナオくんの言う通りだ。

ウソをつくなら、我慢をするなら、

周りにそれを悟られることも、

ましてや気を遣わせることもあってはならない。


「ごめん、なさい」

だからわたしは素直に頭を下げた。


「やっぱり、帰るか?」


「ううん、大丈夫」


心配かけてごめんね、という言葉は飲み込んだ。

きっとそれを言ったらナオくんにまた怒られてしまう。


「謝るくらいなら素直になれば」

なんてことを言われて。