『で、どうなったわけ?』


「どうもこうもないよ。


単位の取り方とか大学のことでよく分からないことがあったら連絡するし、同じキャンパスで講義がある日は一緒にお昼食べるよ」

『ふーん』

「ふーんって何それー

すごい興味ないじゃん」


『興味?あるよ?あるある』


「みーほー!

同じこと2回繰り返す時ほど感情がこもってないって聞いたことあるよー?」

『あたしをそんな一般論に当てはめないで』


ナオくんとご飯を食べたあの日から2週間ほど経っていた。

電話越しの美帆は相変わらずすぎて安心できる。


『まあ、でも良かったんじゃない。

聞きたかったことが聞けて、

言いたかったことも言えたんだから』


「うん、ほんとに良かった。

スッキリした」


ナオくんに対する謝罪と後悔の気持ちを忘れたわけではない。

でも、確実に背負っていた何かが軽くなったのだ。

きっとナオくんはそうなることも分かっていて、

あの日、あの頃の話をしてくれたんだと思う。


『で、トシくんとは?』


「何その質問」


『そんな露骨に不機嫌にならなくても』


「だって分かってるでしょ?」

ベットに座っていたわたしは、ぼふっとクッションを殴った。


『相変わらず、あかりちゃんと仲良しで、気まぐれにユウに連絡きて一緒にご飯食べたりする、ってこと?』

「ほらー、全部分かってるじゃーん」

殴ったクッションを今度は形が変わるほどに抱き締める。


『何考えてんだかね、トシくんは』

それはね、美帆。

簡単な問いだね。


「アイツは何も考えてないよ」


何も考えてなくて、

自分がしたいようにしているだけだ、絶対に。