「え?先輩から?」
「うん…」
こうして連絡が来るのはわたしが高校を卒業したあの日以来だろうか。
「なんて?」
「もう新生活は落ち着いた?
暇があったら久しぶりにご飯でもどう?
だって…」
「ご飯でもどう?って先輩、どこにいんの?」
「…同じ大学」
そう答えると、トシの目が開かれる。
「え?まじ?」
「うん、まじ。」
「でも先輩の姿なんて見たことないぞ?」
「キャンパスが違うからだと思う。」
なるほど、とトシは答えたまま黙った。
そうして数分の沈黙の後、口を開いた。
「まさか、だけど」
「なに?」
「先輩を追いかけてこの大学に…」
「そんなわけないでしょ。
言ったじゃん、先輩に対する気持ちが憧れだって気付いたから別れた、って。」
「あ、そうか。」
「そりゃあね、受験するときに考えたよ?
先輩と同じ大学だったら顔を合わせる日が来るかもしれない、って。
でも、そんなことを理由に志望校変えるのは違うでしょ?」
「まあ、確かにな。」
それに先輩の通う学部のキャンパスと、
自分の志望する学部のキャンパスが違うと分かっていたから、
だからわたしは志望校を変えなかった。


