「…わかった。
1から説明する。そしたら信じてもらえるはずだから」
めんどくさそうな顔をしたトシが口を開く。
「まず、あの子は同じクラスの隣の席の子」
隣の席の女の子と3ヶ月経って、
ただの隣の席の子が彼女になりました、って?
なんなの、その学校あるあるみたいな話。
「で、今日バイトが終わったらその子がなぜか店の前にいました」
なぜか、なんてわざとらしい言い回し。
分かってるじゃん。
彼女なんだもん、プレゼント渡しに会いに来たんでしょ?
「それで、立ち話してたのな。
んで急に
はい、これ、誕生日プレゼント。
って言われて袋を渡されました」
そりゃあ渡すでしょうよ。
それを渡しにわざわざ来たんだから。
「でさ、俺も急なこと過ぎて聞いたの。
わざわざこれ渡しに来たの?って」
彼女に向ってわざわざ、なんて聞く?
きっと彼女びっくりしたと思うよ?
だって理由なんて簡単じゃない。
好きだから会いたくて、
好きだからトシの誕生日を祝いたくて、渡しに来たんじゃない。
「そしたら、
遠くても来るよ。だって好きな人の誕生日、お祝いしたいもん。
って言われました」
ほら、わたしの思った通り。
「そして続けて言われました。
好きです、付き合ってください」
好きです、付き合ってください…?
あれ、待って。
付き合ってる彼女が付き合ってください、なんて言わ…ないよね?
ってことは、
「え、ほんとに付き合ってないの?」
「だからさっきからそう言ってるだろ」
「…ごめんなさい」
すべては、わたしの妄想。
すべては、私の勘違い。
ってことだったのね…


