それから1週間。
ウソみたいなことが続いた。
大学に入学して3か月。
トシに校内で会うことなんてあの再会した日が初めてだったのに、
あの日以来、なぜか何度も遭遇した。
食堂で空いている席を見つけて座るとなぜか隣はトシ。
トイレを済まして出てくると同じタイミングでトイレから出てくるトシ。
売店のレジでお金を払っていると隣のレジでお金を払っているトシ。
この3か月どうして会わなかったのだろうと不思議に思うくらいトシと顔を合わせてしまう。
その度にトシは何か声をかけようとしてくる。
でもわたしはそれをすべて無視した。
だってどんな顔をして
どんな話をすればいいの?
この間、わたしはトシから逃げたんだよ?
「優子?なんか最近変だよ?」
「え?何が?」
次の講義のために教室を移動していると友達に言われる。
「最近、大学にいる時ずっとキョロキョロしてる。
何?ストーカーでもいるの?」
「いやいや、わたしをストーキングするもの好きなんていないよー」
はは、と笑って誤魔化す。
どうやらトシとの遭遇に警戒しすぎているみたいだ。
「なんかあったら言ってよー!」
「うん、ありがとう。」
そう答えながら、こんな話わたしの恥をさらすみたいでできない、と心の中で思う。
だってそうでしょ?
16年幼なじみやってきて、
その幼なじみが好きだと気付かずに憧れていた先輩を好きだと思い込んで付き合って、
その幼なじみがいなくなったら好きだという気持ちに気が付いて、
2年半後にやっと再会できたと思ったらその幼なじみに彼女がいました。
なんて自分が愚かで滑稽でならない。


