「おう」
先、店にいる。
そのメッセージを外で確認してから店内に入り、トシの頭を見つけた。
「おう」
トシの正面に座り、まじまじとトシを観察する。
髪の毛はあの頃より少し伸びて、遊ばせる、ということを学んだらしい。
眉毛を整える、ということも学んで、
服装は少し大人っぽくなって。
悔しいけど、たぶんカッコイイという部類に入ってしまうということを認めるしかなかった。
「あんまり変わってないな」
「うるさい」
そんなはずがない。
髪の毛だって伸ばしたし、茶色く染めたし、化粧だってしてる。
バカトシめ。気づけ、バカ。
「彼女…なんて言ったっけ?」
「あかり?」
あかり、だって。
胸の奥の痛みに気づかないフリをした。
「良かったの?」
「何が?」
「わたしと二人きりで会うこと」
はあ、とわざとらしく大きな溜め息をつくトシ。
「ちゃんと言ってある。
幼なじみに会うだけだから心配するようなことは何もない、って。」
"幼なじみに会うだけ"
そう思ってるのはトシだけだよ。
そうトシに伝えたら、トシはどんな顔をするんだろう。